これからどうします?

修羅の国・福岡で生きる30代独身女。家計簿、投資、一人暮らし、遠距離恋愛。

「仕事には行けるけど、休みになると体が動かない」私がカウンセリングに行った話⑤

春山です。

「仕事には行けるけど」シリーズ5回目でございます。
これを書いていると、自分自身を振り返られる気がします。「あー、このとき、自分では『大丈夫!まだいける!』と思ってたけど、もうだいぶ疲れてたんだな…」とか。自分を外側から見つめ直すために、書くという行為は有効なのかもしれません。自己満足きわまりない文章ですが、ブログやってて良かったです。たぶん。

もうしばらくしたら家計簿公開も再開しますので、お待ちいただけると嬉しいです。

では続きからどうぞ。なお、登場する人名はすべて仮名です。

 カウンセリング前日、先輩に罵られる

土曜日にカウンセリングの予約を入れた私は、何とか木曜日と金曜日を乗り切った。日曜日は丸一日仕事だけど、その前にカウンセリングを受ければ、きっと乗り切れるに違いない。頭の隅に居座る「死ぬか消えるかしたい」気持ちを意識しながらも、私はとりあえず仕事に集中した。

迎えた金曜日の残業中。女性の先輩が突然、担当内のメンバーを罵り始めた。

 

先輩は今年の春に異動してきた方だ。前の課からの引継ぎ資料には、精神を「患っていたことがある」と書いてあったと、前任の係長から聞いた。トラブルのもとだから窓口には出していけない、外線も取らせるな、とも書かれていたらしい。
窓口に出てはいけない彼女が異動してきた私の課は、来庁者への窓口対応をメイン業務とする部署だ。彼女の異動を知ったとき、何だこの謎人事は?と目眩がした。実際に先輩がやってきて、新体制で業務が始まると、目眩どころではなくなった。
当然ながら、彼女にできる仕事は限られていた。人事や上司は「彼女ができる仕事をみんなで見つけて与えるように。けっして彼女のプライドを傷つけないように」と私たち現場の職員にせっせとハッパをかけてきたが、ただでさえパワーダウン著しい担当内で、そんな「おしごとさがし」をしている暇などなかった。
結局先輩は、仕事の時間のほとんどを、単純作業と独り言に費やしていた。業務のポータル画面だけが表示されたPCを眺めながら、身振り手振りをしたり、手をたたいて小さな声で笑ったりしていた――まるで、見えない誰かと会話でもするように。
それでも、先輩の肩書と給与の等級は、私よりも上だった。仕事していようがしていまいが、「早く生まれた」という理由だけで、彼女は私よりも高い給料をもらっている。そのことを考えると、ぐちゃぐちゃとした感情が私を覆った。墨で全身を真っ黒に塗りつぶされたような、何とも言い難い気持ちのまま、斜め前に座る先輩の独り言を聞き続けた。

その先輩が、突然、目の前で罵倒を始めたのだ。先輩よりも年下の、私と非正規の職員さんから、仕事のミスを指摘されたことが引き金となったらしい。私たちは、「プライドを傷つけてはいけない」という人事と上司のお達しを破ってしまったのだ。
私たち2人への攻撃から始まったはずの彼女の怒りは、いつの間にか、その場にいたメンバー(私たち2人+係長と針沼さん)への爆撃に変わっていた。

「今日はこうやって私を攻めるシナリオですか?」

「この職場は怖い!複数人対1人で責められるのはつらいですよ。私は私なりに頑張っているのに。そんなに一度に色々言われても分からない!」

「みんな私の悪い噂ばかり聞いているからこういうことをする!」……

私たちが口をはさむ間もなく、先輩は立て続けにまくし立てた。ヒートアップは止まらなかった。疲れのたまりまくった金曜日の残業時間。仕事は全く進んでいない。もううんざりだった。この担当は怖い、と言う彼女に、私は「そうですか。じゃあもう、今日は帰ったほうがいいですよ」と伝えた。なるべく気持ちを静めて言ったつもりだったが、私も未熟者だった。
完全に対応を間違えた。
年下に馬鹿にされたと先輩は考えたのだろう。彼女の矛先は完全に私に向かった。

「春山さん、多重人格ですかあ?別に演技しなくていいですよ?」

頭が真っ白になった。他人から、面と向かってこんなことを言われるとは思わなかった。むき出しの敵意というのを浴びた気がした。気がつくと女子トイレにいた。不思議と涙は出なかった。水曜日にカウンセリングルームに電話がつながらなかったときはヒィヒィ泣いて助けを乞うたくせに、こういうときには涙が出ないのか、と妙に冷静に考えた。その代わりハンカチを持つ手が震えていた。人間怒ると体が震えるのだと、このとき身を持って知った。

事務所に戻ると、先輩は非正規職員さんに説教していた。あなたとは生きてきた時間が違うだのなんだのと言っていたが、私が戻ってきたのをみると、こちらに向き直って明るく言い放った。
「春山さん、さっきはごめんね。でも、こうして言い合いができてよかったね!」。
もう私の思考回路では、ついていけなかった。彼女は続けた。
「みんなが流す私の悪い噂ばかり聞いてたでしょ、春山さんも私がこんな(意識の高い)人とは思ってなかったよね?」
彼女は色々楽しそうに話してきたが、私の心にも頭にも、それを受け止める隙間は1ミリもなかった。とにかく速やかに仕事を終わらせて帰ることだけを考えていた。

先輩が周囲を攻撃している間、係長はずっと黙っていた。これを書いている今日の今日まで、彼からフォローを受けた覚えはない。この件を、当時不在だった課長に報告することは、最低限行ったらしい。「なんか急に騒ぎ出した。自分は仕事をしていたので、詳しくは知らない」と。彼の眼には何が見え、彼の耳には何が聞こえていたのだろうか。

この日の夜、いてもたまらなくなって、私から連絡し、宮崎のパートナーとLINEで通話した。話を聞いてくれる彼の存在がありがたかった。それ以前に、「きちんと成立する会話」ができることに安心した。私は疲れていた。

 

土曜日。気を抜くと、頭の中に彼女の「多重人格ですかあ?」が音声付きでリピートする。最悪の気分だった。正直、どこにも行く気が起きなかったが、今日はカウンセリングの予約が入っている日である。少しでもこの状況が楽になる方法があるかもしれない。ヘドロのように地面にへばりつこうとする体をズルズル引きずりながら、私はカウンセリングルームがあるビルに向かった。

 

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